サポニンとは
サポニン(saponin)とはトリテルペンやステロイドにオリゴ糖(二個以上の糖が結合したもの)
が結合した配糖体の一種で植物界に広く存在しています。サポニンはラテン語の sapo
(石鹸,シャボン)と語源は同じで、水と混ぜて振ると泡立つ性質(起泡性)があり天然の
界面活性物質としてはたらきます。サポニンを多く含むナデシコ科のサボンソウやバラ科の
キラヤなどは、古くから洗濯などに用いられ、今日でもサポニンを多く含む植物を石鹸代わり
に洗濯などに利用する民族が存在します。
界面活性とは
界面とは、表面ともいいます。界面(表面)とは、2つの性質の異なる物質の境界面のことです。
2つの混じり合わない物質の間に界面が存在します。界面活性剤とは、このような界面に働い
て、
界面の性質を変える物質のことです。洗剤が汚れを落とす秘密は、界面活性剤にあります。
界面活性剤は、水になじむ親水基と油になじむ親油基の2つの性質を合わせもっており、水と
油の仲を取り持つ物質です。物質への浸透作用、乳化作用、分散作用をもち、洗剤等に使わ
れています。
* 界面活性剤の浸透作用
水の分子には互いに引き合う力(界面張力)があります。例えば、ガラスや繊維の上に水を落と
すと、丸い水滴になり、なじもうとしません。水分子は互いに引き合う相手がいる状態では安定し
ていますが、空気と接する面は引き合う相手がいないため、エネルギー的に不安定となり、エネ
ルギーの高い状態が発生します。水滴が丸いのは、このエネルギーを最小限に抑えるために、
水の分子が互いに引き合って表面積を小さくしようとするからなのです。ここに界面活性剤を入れ
ると、界面活性剤の親水基が、不安定な状態にいた水分子と結びつき、エネルギー的に安定した
状態となります。このため、界面張力が下がり、繊維などになじみやすくなります。
* 界面活性剤の乳化作用
水に油を混ぜようとしても、分離してしまいます。しかし、界面活性剤を加えると、界面活性剤の
親油基が油の粒子を取り囲み、親水基を外側
に向けた状態に並びます。この親水基は水になじ
みやすいため、水と混じり合い、水と油が均一に混ざった状態(乳化)となります。
* 界面活性剤の分散作用
粉末や粒子を水に入れると、混ざり合わずに表面に浮かんでしまいますが、界面活性剤を入れる
とこれらの粒子が界面活性剤の分子に取り囲まれ、水中に分散されます。
界面活性剤と洗剤
台所洗剤や風呂の洗剤の多くには、界面活性剤が含まれています。これらの洗剤は、上記3つの
界面活性剤の作用が総合的に働いて、汚れを落とします。つまり、界面活性剤の浸透作用により
食器の表面に洗剤がなじみ、次に乳化作用により油汚れとなじみ、最後に界面活性剤によって取り
囲まれた状態の油分を分散作用によって水中に分散させ食器から分離させることにより、汚れを
落とすのです。
